文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
8.そのほか 【水腎症】
91.無症候性の水腎症の成人患者です。対処と処方について教えて下さい。
著者: 井口太郎1 坂本亘2 浅井利大1 石井啓一2 上川禎則1 金卓1 杉本俊門1
所属機関: 1大阪市立総合医療センター泌尿器科 2大阪市立総合医療センター小児泌尿器科
ページ範囲:P.328 - P.330
文献概要
無症候性水腎症の多くは,健診や近医でのスクリーニング検査(超音波検査,CTなど)で水腎症を指摘されて泌尿器科を紹介される。水腎症とは,腎盂・腎杯が拡張した状態であるという形態的変化を示す語彙であり,原因となる疾患は先天性疾患と後天性疾患に大別されるが,それぞれにおいて多岐にわたる(表1)。また,原因の機序(器質的,機能的),発生部位(上部尿路,下部尿路),閉塞程度(完全,不完全),経過(急性,慢性),発生場所(片側性,両側性)などの要因により治療方針も千差万別であるが,水腎症がどのような治療の対象となるか否かを判断することが重要である。
2 診療方針
一般的に,水腎症を放置すれば腎実質の萎縮や腎機能障害に至る可能性があるため,水腎症が急激に発症する結石の尿管嵌頓などの場合は早急な原因検索と尿流停滞の解除が必要となる。また,腎機能低下を伴う高度の両側水腎症の場合には,原因検索よりも尿流停滞の解除を最優先すべき場合も多い。
参考文献
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