文献詳細
異論・反論 泌尿器科術前・術後管理
文献概要
1 はじめに
医師,とりわけ外科医の世界では徒弟制度が根強く温存されている。すなわち,手術や術後管理については「手術の技量,経験がすべてに優先されている」といっても過言ではない。こうした慣習のなかで,SSI(surgical site infection:手術部位感染症)は一定の確率で生じ,患者,医療者側いずれにとっても大きな負担となっていた。1999年にCDC(Centers for Disease Control and Prevention)によって,SSI予防ガイドライン1)が発表されたあとも,しばらくの間,抗生物質の術後長期投与,剃毛,術後の創部消毒などがなされていた。近年,医療事故が多発した社会的背景から経験論はバッシングされ,EBMという概念が注目されるに至った。EBM(evidence-based medicine)とは「科学的根拠に基づいた医療」と訳されているが,日本においても徐々に浸透し,成果が上がりつつある。
本稿では,SSI予防に対するCDCのガイドラインのなかで,剃毛の是非について紹介し,それを実践した当科での経験を報告する。
医師,とりわけ外科医の世界では徒弟制度が根強く温存されている。すなわち,手術や術後管理については「手術の技量,経験がすべてに優先されている」といっても過言ではない。こうした慣習のなかで,SSI(surgical site infection:手術部位感染症)は一定の確率で生じ,患者,医療者側いずれにとっても大きな負担となっていた。1999年にCDC(Centers for Disease Control and Prevention)によって,SSI予防ガイドライン1)が発表されたあとも,しばらくの間,抗生物質の術後長期投与,剃毛,術後の創部消毒などがなされていた。近年,医療事故が多発した社会的背景から経験論はバッシングされ,EBMという概念が注目されるに至った。EBM(evidence-based medicine)とは「科学的根拠に基づいた医療」と訳されているが,日本においても徐々に浸透し,成果が上がりつつある。
本稿では,SSI予防に対するCDCのガイドラインのなかで,剃毛の是非について紹介し,それを実践した当科での経験を報告する。
参考文献
1)Guideline for Prevention of Surgical Site Infection, 1999. Infect Control Hosp Epidemiol 20:250-278, 1999(URL:http://www.cdc.gov/ncidod/hip/SSI/SSI.pdf)
2)Seropian R, Reynolds BM:Wound infections after preoperative depilatory versus razor preparation. Am J Surg 121:251-254, 1971
3)Alexander JW, Fischer JE, Boyajian M, et al:The influence of hair removal methods on wound infections. Arch Surg 118:347-352, 1983
4)Mishriki SF, Law DJ, Jeffery PJ:Factors affecting the incidence of postoperating wound infection. J Hosp Infect 16:223-230 1990
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