文献詳細
異論・反論 泌尿器科術前・術後管理
文献概要
1 はじめに
筆者が研修医の頃,泌尿器科の手術後の予防抗菌薬としては一般的に第三世代のセファロスポリン系抗生物質が当然のように使われている時代であった。しかもその薬は手術後帰室してから「1日2回,7日間の投与」と先輩の先生から教わり,新しい抗菌薬が市販されるたびに常に新しいものを試していた記憶がある。しかしながら,このような使用方法がMRSAなどの耐性菌の発生を生むことになり,多くの耐性菌による強烈なしっぺ返しを受けている。各科領域で耐性菌による重症感染症を経験するようになり抗菌薬に対しての関心が高まったことにより,MRSAを発生させないようにと術後の予防抗菌薬の種類が見直されるようになり,また術後の予防投与法が見直されるようになった。外科領域では多くの報告がみられるようになり,1999年にはCDCからガイドライン1)が報告され,本邦でも「抗菌薬の使用の手引き」2)が作成された。泌尿器科領域ではやや遅れて,2001年にEAUのガイドライン3)の報告があり,本邦でもようやくこの問題に対しての取り組みがなされるようになってきた4,5)。
本稿では,外科領域での報告2,6,7)を参考に,泌尿器科での術後の感染予防薬としての抗菌薬の使用法について考えてみたい。
筆者が研修医の頃,泌尿器科の手術後の予防抗菌薬としては一般的に第三世代のセファロスポリン系抗生物質が当然のように使われている時代であった。しかもその薬は手術後帰室してから「1日2回,7日間の投与」と先輩の先生から教わり,新しい抗菌薬が市販されるたびに常に新しいものを試していた記憶がある。しかしながら,このような使用方法がMRSAなどの耐性菌の発生を生むことになり,多くの耐性菌による強烈なしっぺ返しを受けている。各科領域で耐性菌による重症感染症を経験するようになり抗菌薬に対しての関心が高まったことにより,MRSAを発生させないようにと術後の予防抗菌薬の種類が見直されるようになり,また術後の予防投与法が見直されるようになった。外科領域では多くの報告がみられるようになり,1999年にはCDCからガイドライン1)が報告され,本邦でも「抗菌薬の使用の手引き」2)が作成された。泌尿器科領域ではやや遅れて,2001年にEAUのガイドライン3)の報告があり,本邦でもようやくこの問題に対しての取り組みがなされるようになってきた4,5)。
本稿では,外科領域での報告2,6,7)を参考に,泌尿器科での術後の感染予防薬としての抗菌薬の使用法について考えてみたい。
参考文献
1)Mangram AJ, Horan TC, Peason MJ, et al:Guideline for prevention of surgical site infection, 1999. Infect Control Hosp Epidemiol 20:247-278, 1999
2)日本感染症学会・日本化学療法学会(編):抗菌薬使用の手引き.Ⅱ-7.外科感染症.一般消化器外科領域.協和企画,pp93-121,2001
3)Naber KG, Bergman Bo, Bishop MC, et al:EAU guidelines for the management of urinary and male genital tract infections. Eur Urol 40:576-588, 2001
4)Kanamaru S, Terai A, Ishitoya S, et al:Assessment of a protocol for prophylactic antibiotics to prevent perioperative infection in urological surgery:a preliminary study. Int J Urol 11:355-363, 2004
5)山本新吾,国島康晴,金丸聡淳,他:泌尿器科領域における周術期感染症阻止薬適正使用に関する多施設共同研究.泌尿紀要50:673-683,2004
6)品川長夫:「周術期抗菌薬の基本的な考え方」―ガイドライン作成への提言.日化療会誌49(S-B):71-89,2001
7)炭山嘉伸:周術期感染症.日化療会誌52:59-67,2004
8)Classen DC, Evans RS, Pestotnik SL, et al:The timing of prophylactic administration of antibiotics and the risk of surgical-wound infection. N Engl J Med 326:281-286, 1992
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