臨床泌尿器科59巻6号

2005年05月発行

症例

水腫穿刺により異型細胞を認めた陰囊内悪性中皮腫

著者： 瀬尾崇¹ 品川剛廣¹ 田中孝直¹ 大森聡¹ 近田龍一郎¹ 藤岡知昭¹

所属機関： ¹岩手医科大学医学部泌尿器科

ページ範囲：P.415 - P.417

文献概要

81歳，男性。右陰囊の腫脹・疼痛を訴え近医受診。精巣腫瘍を疑われ当科に紹介された。陰囊は小児頭大に腫大し弾性硬で，超音波検査およびCTで内部不均一な囊胞状の腫瘤が認められた。右精巣・精巣上体は確認されなかった。右陰囊内悪性腫瘍を否定できないため，右高位精巣摘出術を施行した。病理組織検査より悪性中皮腫と診断された。術後11か月に右胸膜への転移が明らかとなり19か月に癌死した。

参考文献

1）黒川陽子，杢尾泰洋，大古美冶，他：精巣固有鞘膜悪性中皮種の1例．泌外17：801-804，2004

2）Abe K, Kato N, Miki K, et al：Malignant mesothelioma of the tunica vaginalis. Int J Urol 10：602-603, 2002

3）佐々木正道：悪性中皮種の病理．病理と臨床7：709-719，1989

4）Plas E, Riedl CR and Pfluger H：Malignant mesothelioma of the tunica vaginalis testis. Cancer 83：2437-2446, 1998

5）町田竜也，山田拓己，小林信幸，他：精巣鞘膜に発生した悪性中皮腫の1例．泌尿紀要43：161-164，1997