文献詳細
特集 Female urology
文献概要
要旨 婦人科手術における泌尿器科合併症は,術中の尿管や膀胱の損傷である。術中に損傷に気づけば比較的容易に修復可能であるが,しばしば術後に気づくことになる。これらの多くは保存的には治癒せず手術を要するうえ,機能回復を目的とした形成手術となるため難易度が高い。最も代表的な合併症は尿管腟瘻と膀胱腟瘻で,術直後から数週間以内に真性尿失禁で気づき,前者では水腎症を伴うことも多い。このほか術中の剝離操作やリンパ節郭清による尿管の血流障害や,婦人科手術後によくみられるリンパ囊腫形成に伴う尿管の圧迫による水腎症もあり,腰痛や術後IVPで偶然気づくことが多い。また,広汎子宮全摘出術後の神経因性膀胱も頻度の高い合併症である。
参考文献
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