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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科60巻11号

2006年10月発行

画像診断

膀胱粘膜下腫瘍として認められた前立腺貯留性囊胞

著者: 金子智之12 杉本雅幸1

所属機関: 1東京都職員共済組合青山病院泌尿器科 2東芝病院泌尿器科

ページ範囲:P.847 - P.849

文献概要

 患 者 59歳,男性。

 家族歴・既往歴 特記すべきことなし。

 現病歴 2006年1月発熱と頻尿を主訴に近医受診した。急性前立腺炎と診断され抗生物質投与にて軽快したが,腹部超音波検査にて膀胱腫瘍が疑われたため,同年2月22日当科を受診した。

 画像所見 軟性膀胱鏡では膀胱頸部12時方向に膀胱内に突出する表面平滑な粘膜下腫瘍を認めた(図1)。MRIでは同部位にT1強調像,T2強調像ともに内腔が高信号を呈する多房性病変を認め,前立腺由来の囊胞性疾患と考えられた(図2A,B,C)。

 臨床経過 2006年3月8日経尿道的切除術を施行した。腫瘍の切除を行ったところ,囊胞内腔が開放され,灰白色の液体の流出がみられた(図3)。病理組織検査では,囊胞壁に移行上皮に被覆された膀胱壁とともに,拡張した前立腺腺管が認められた。悪性所見は認められなかったため,前立腺貯留性囊胞と診断した。術後経過に問題を認めなかった。初診時のPSAは1.062ng/mlであったため前立腺生検は行わず,外来にて経過観察中である。

参考文献

1)Emmett JL and Braasch WF:Cysts of the prostate gland. J Urol 36:236-249, 1936
2)棚橋善克,渡辺 泱,猪狩大陸,他:前立腺貯留性嚢腫の1例.西日泌尿36:83-88,1974
3)林 独志,笠谷俊也,石川 悟,他:排尿障害を主訴とした前立腺貯留性嚢胞の1例.泌外8:61-63,1995
4)長野正史,嘉川春生,島袋浩勝,他:膀胱頸部に発生した前立腺貯留性嚢胞の2例.西日泌尿59:921-924,1997
5)二宮 郁,滝川 浩:尿閉をきたした前立腺貯留性嚢胞.臨泌58:323-325,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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