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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科60巻13号

2006年12月発行

文献概要

症例

自然破裂を契機として発見された腎細胞癌

著者: 泉浩二1 小中弘之1 並木幹夫1

所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学(泌尿器科)

ページ範囲:P.1007 - P.1010

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 症例は34歳,女性。右背部痛を主訴に近医を受診,CTで右腎周囲に血腫が認められ当院を紹介され,緊急入院となった。若年女性であり,血管造影にて腫瘍内に微小動脈瘤が認められ,腎血管筋脂肪腫の自然破裂と診断し塞栓術を施行したが,腎摘除術は患者が拒否したため施行しなかった。経過観察中のCTにて,腫瘍は著明に増大し偽被膜が認められ,腎細胞癌が疑われたため,右腎細胞癌T2,N0,M0と診断し右肋骨弓下横切開にて根治的右腎摘除術を施行した。組織学的に平滑筋成分や脂肪成分はみられず,淡明細胞癌と診断した。画像上,腫瘍内に明らかな脂肪は認められなかったが,血管構造が豊富で腎血管筋脂肪腫との鑑別が非常に困難な症例であった。自然破裂した腎細胞癌の予後に関しては一定の見解が得られていないが,腫瘍細胞の播種の可能性もあり,厳重な経過観察が必要であると考えられる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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