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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科60巻2号

2006年02月発行

文献概要

画像診断

コイル塞栓術を施行した腎動脈瘤

著者: 蓮見壽史1 菅野ひとみ1 竹林茂生2

所属機関: 1東芝林間病院泌尿器科 2横浜市民総合医療センター放射線科

ページ範囲:P.163 - P.165

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患者 64歳,男性。

 主訴 左腎動脈瘤。

 家族歴・既往歴 特記すべきことなし。

 現病歴 1997年より前立腺肥大症にて経過観察されていた。2004年4月9日,内科CTにて左腎に異常を指摘された。

 現症 154/80mmHgと軽度高血圧を認めた。

 検査所見 血液・尿検査上,異常は認めず。

 画像所見 腹部CTにて左腎門部に直径30mmの腫瘤を認め,単純CTでは2/3円周性に石灰化を認め(図1),造影CTでは血管と同密度に濃染した(図2)。腹部MRAにて,腎動脈本幹が分岐した直後に囊状で直径30mmの血管と等信号を示す腫瘤を認め,腎動脈瘤と考えられた(図3)。

 経過 2004年8月17日,動脈瘤塞栓術を目的に左腎動脈造影を施行した。左腎動脈瘤は下腎のsegment arteryに存在し(図4),瘤から下腎を広範囲に支配する血流を認めた(図5)。動脈瘤塞栓術にはCook社製,0.035inch血管塞栓用白金コイルを用いた。血管内に出たときの径が10mmのものを4本および8mmのものを3本挿入留置した。造影検査をすると動脈瘤内の血流は完全に消失しており,また動脈瘤より末梢の血流は温存されていた(図6)。術後,特に合併症は認めず,入院期間は3日間であった。術後2か月後のCTにて瘤内に血流を認めず,瘤完全閉塞と考えられた。

参考文献

1)Hageman JH, Smith RF, Szilagyi DE, et al:Aneurysms of the renal artery:problems of prognosis and surgical management. Surgery 84:563-572, 1978
2)Glass PM and Uson SC:Aneurysms of the renal artery:a study of 20 cases. J Urol 98:285-292, 1967
3)Tham G, Ekelund L, Herrlin K, et al:Renal artery aneurysms:natural history and prognosis. Ann Sug 197:348-352, 1982
4)Poutasse EF:Renal artery aneurysms:their natural history and sugery. J Urol 95:297-306
5)Ortenberg J, Novic AC, Straffon RA, et al:Surgical treatment of renal artery aneurysms. Br J Urol 55:341-346, 1983

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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