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特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス G.核医学的診断法 【ポジトロンCT(PET)】
72.腫瘍FDG-PETの適応,方法,基本的読影法について教えて下さい。
著者: 田中基幹1 平尾周也2 平尾佳彦2
所属機関: 1近畿大学医学部泌尿器科 2奈良県立医科大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.248 - P.253
文献購入ページに移動ポジトロンCT(positron emission tomography:PET)は,ポジトロン(陽電子)を放出するアイソトープで標識された薬剤を静注し,その体内分布をPETカメラで映像化する核医学診断法である。その原理は,ポジトロンがマイナスの電気を帯びた電子に結合してγ線(ガンマ線)になり,このγ線はエネルギーや放射方向が一定している特徴があり,PETではこのγ線を体外から感知し薬剤の体内分布を画像化するものである。細胞内に存在する特定の生理活性物質の元素を放射性同位元素に置き換え,この活性の高い細胞群を描出するので,従来の超音波断層診断やCT,MRIなどの形態をみる画像診断とは異なり,細胞の機能をみる機能画像診断としての有用性が高いことが知られている。
近年注目を浴びている腫瘍FDG-PETは,グルコースの水酸基の1つを18-Fに置換した構造を持つ[18F]2-fluoro-2-deoxyglucose(FDG)を用いる。一般に,増殖の活発な癌組織における糖代謝は周囲の正常組織より亢進しており,腫瘍FDG-PETでは癌組織と正常組織の糖代謝の差を利用し画像的に両者を区別するものであり,主に癌領域の診断や治療効果判定などに近年急速に普及してきた。現在,保険適用の認められている疾患を表1に示すが,これら以外の疾患に対する保険適用外の使用や,癌の早期発見を目的とした検診などに急速に普及してきている。
本稿では,FDG-PETについて概説し,自験例を通じて泌尿器疾患における腫瘍FDG-PETの有用性について記述する。
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