icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科60巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス J.生検法 【前立腺生検】

90.前立腺生検を行う場合,ドプラを併用して行う方法があると聞きました。この方法を具体的に教えて下さい。

著者: 濵口卓也1

所属機関: 1高知大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.318 - P.320

文献購入ページに移動
1 はじめに

 触診,血清PSA値ならびに経直腸的超音波断層法(transrectal ultrasonography:TRUS)は前立腺癌の診断に欠くことのできない検査法であり,前立腺癌診断の3つの“gold standard”といっても過言ではない。しかしながら,TRUSで示される低エコー域は癌特異的なものでなく,TRUSの癌正診率は約21%にすぎない1)。また,等エコー域や高エコー域を示す部位にも前立腺癌が存在するとの報告もあり,TRUSの癌診断特異度を減少させている2)

 前立腺癌診断におけるTRUSの役割は病変検索,局所浸潤,病期診断,さらに前立腺生検のTRUS下のガイドがある。1989年,Hodgeら3)により報告されたTRUS下の系統的6か所生検は,長く前立腺生検法のgold standardであった。そののち,系統的6か所生検の限界が叫ばれるようになり,多施設で生検手技の改善が試みられ,現在では10~12か所の多部位生検が標準的な生検法となっている(至適前立腺生検本数については前項を参照されたい)。

 このように,前立腺癌検出率を向上させるために多くの試みがなされているが,TRUSにおける前立腺癌診断は残念ながら満足のできるものではなく,TRUSでの最近の試みとしては癌診断率を向上させるために,前立腺内部の血流情報から腫瘍血流を同定するカラードプラ法が応用されるようになった。

 本稿では,前立腺癌診断におけるカラードプラ併用TRUSないしカラードプラ併用前立腺生検法の有用性について概説する。

参考文献

1)Hinman F:Screenin for prostatic carcinoma. J Urol 145:126-130, 1991
2)Shinohara K, Wheeler TM, Scardino PT:The appearance of prostate cancer on transrectal ultrasonography:correlation of imaging and pathological examinations. J Urol 142:76-82, 1989
3)Hodge KK, McNeal JE, Terris MK, et al:Random systematic versus directed ultrasound guided transrectal core biopsies of the prostate. J Urol 142:71-74, 1989
4)Kelly IM, Lees WR, Rickards D:Prostate cancer and the role of color doppler US. Radiology 189:153-156, 1993
5)Rubin JM, Bude RO, Carson PL, et al:Power Doppler US:A potentially useful alternative to mean freqency-based color Doppler US. Radiology 190:853-856, 1994
6)繁野和志,井川幹夫:カラードップラー下前立腺針生検.Urology View 3:64-69,2005
7)Franco OE, Arima K, Yanagawa M, et al:The usefulness of power Doppler ultrasonography for diagnosing prostate cancer:histological of each biopsy site. BJU Int 85:1049-1052, 2000
8)Takahashi S, Yamada Y, Homma Y, et al:Power Doppler ultrasonography-directed prostate biopsy in men elevated serum PSA levels:An evaluation of the clinical utility and limitations. Urology 60:248-252, 2002
9)鴨井和実,沖原宏治:超音波パワードップラー・ガイド下生検法.泌尿器外科17:759-762,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら