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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科60巻6号

2006年05月発行

画像診断

一部が腎細胞癌と思われた萎縮腎

著者: 井上博夫1 三村裕次1 石塚修1

所属機関: 1信州大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.426 - P.427

文献概要

 患 者 48歳,女性。

 主 訴 左腎腫瘤。

 経 過 2002年10月,大動脈弓遠位から総腸骨動脈に及ぶ解離性大動脈瘤(Stanford B型)を発症,保存的に治療し以後近医で経過観察を受けていた(図1)。

 2004年11月のCT(図2)で左腎は全体に萎縮しているが,上極に造影効果を認める径2cmの腫瘤を認めた。MRI(図3)上もCTと同様の所見で腎細胞癌が疑われ,当科へ手術目的で紹介となった。他に転移を疑う所見はなく臨床病期T1aN0M0と診断。左腎はほぼ無機能であることから腎摘除術を行うこととした。2005年5月,手術目的で入院し,腹腔鏡下左腎摘除術を施行した。術後経過は良好で,術後8日目に退院した。病理組織診断では左腎全体は腎硬化症を呈しており,腫瘤状に見えたものは残存した正常腎実質であった。

参考文献

1)Novick AC and Campbell SC:Renal tumors. In:Campbell's Urology, 8th ed. edited by Walsh PC, et al. Saunders, Philadelphia, vol 4, chapt 75, pp2672-2731, 2002
2)藤田哲夫,吉田一成,斎藤 毅,他:腎細胞癌との鑑別が困難であった右腎囊 胞内血腫を発症した維持血液透析患者の1例.透析会誌36:1573-1577,2003
3)橘田岳也,安部崇重,竹山吉博,他:腎細胞癌疑いにて外科的治療を行い病理学的に良性であった12例の検討.臨泌55:639-642,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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