文献詳細
特集 Aging male―これからの展開
文献概要
要旨 世代別自殺者数の調査から最も高率なのはaging maleであり,また先進諸外国との調査結果の比較によっても日本の中高年は飛びぬけて自殺者が多く深刻である。したがって,aging maleの心理社会的背景の理解は不可欠である。Aging maleは個人のライフサイクルにおいては葛藤を持ちやすい世代に当たるので,心身の障害を呈しやすい。また,aging maleではライフサイクルの必然として親世代,そして子世代からの葛藤に巻き込まれやすい。さらに,社会的にも個人的にも対象喪失を最も起こす時期に当たり,これを回避すると葛藤は先送りになりさらに内容は深刻になるとされているので,価値観の喪失には正面から向き合い,乗り越えることが必要である。
参考文献
1)自殺者年3万人下回る経済好転? 慎重な見方も.朝日新聞,2006.10.21
2)中野弘一:心因性勃起障害の成立機序.総合臨床 60(増刊6):439-442,2002
3)中野弘一:心因性勃起障害の心理療法.総合臨床 60(増刊6):443-446,2002
4)Levinson DJ:The season of a man's life. 1978(ダニエル・レビンソン:ライフサイクルの心理学.南博・訳).講談社,東京,1992
5)伊藤 洸:精神発達と分離―個体化理論.小此木啓吾(編):青年の精神病理2.弘文堂,東京,pp67-86,1980
6)中野弘一:男子更年期の心理―発達課題と性役割の変化.ストレスと臨床 20:6-9,2004
7)Nakano K, Tsuboi K, Murabayashi N, et al:Adjustment disorders and psychosomatic disorders among company employees. Jpn J Psychosom Med 34:219-224, 1994
8)中野弘一,芝山幸久,村林信行,他:心療内科における中年期ストレスとその対応.ストレス科学 11:169-173,1996
9)佐藤哲哉,他:中年期の発達課題と精神障害―ライフサイクル論の観点から(第1回).精神医 28:732,1986
10)佐藤哲哉,他:中年期の発達課題と精神障害―ライフサイクル論の観点から(第2回).精神医 28:980,1986
11)中野弘一:男子更年期の評価と対処に関して.心身医学 44:407-413,2004
掲載誌情報