文献詳細
特集 Aging male―これからの展開
文献概要
要旨 男性更年期障害を取り扱う際は,本障害と臨床症状がきわめて類似するうつ病が紛れ込むことがあり,うつ病であればSSRI(selective serotonin reuptake inhibitors:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)として知られている抗うつ薬を薬物治療として選択することが適切な対応となる。また,うつ病では自殺に至る場合が知られ,そのサインも念頭に置いて対処すべきである。男性更年期においては社会的・心理的背景がからみ,心身の症状の出現やうつ病の引き金となる場合があり,心身両面からのアプローチが重要である。SSRIはうつ病の第一選択薬として国際的にもよく知られていて,一般科においても使用しやすいが,投薬のコツや副作用についても理解しておく必要がある。
参考文献
1)石津 宏,馬 宏坤,兪 峰:心身学的観点からの男子更年期.心療内科 8:173-179,2004
2)大庭さよ,島 悟:職業上の危機.精神療法 27:14-22,2001
3)筒井末春:男性更年期障害と心の問題(ストレス).Modern Physician 24:379-380,2004
4)辻村 晃,松宮清美,奥山明彦:男性更年期障害とは―概説.Modern Physician 24:265-268,2004
5)融 道男,中根允文,小見山実(監訳):ICD-10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン.医学書院,東京,1993
6)大坪天平:簡易構造化面接(上島国利,他監修,編集:精神障害の臨床).日本医会雑誌 131:S64-S67,2004
7)筒井末春:実施臨床に役立つうつ病治療の新しい展開―SSRIsを中心に.ライフ・サイエンス,東京,1999
8)Pope HG, Cohane GH, Kanayama G, et al:Testosterone gel supplementation for men with refractory depression:a randomized placebo-controlled trial. Am J Psychiat 160:105-111, 2003
掲載誌情報