文献詳細
文献概要
学会印象記
国際精子学会(International Symposium on Spermatology)見聞記
著者: 岩本晃明1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.78 - P.79
文献購入ページに移動今回は哺乳類の生殖学の第一人者であるRoldan会長のもと,2006年9月17~22日までスペインで行われた。会場はマドリッド市内から車で1時間ほどのグアダラマ山脈の南斜面に広がる標高1,000mの街,緑豊かな高原で,夏は避暑地としてにぎわうサン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルである。当地はすでに秋を迎え,観光客も少なく落ち着いた時期であり,フィリップ2世が建てたスペインでは珍しい装飾的要素を一切排除した宮殿兼修道院が重厚に参加者を迎えてくれた。学会の発表は11のセッション,すなわち精子形成と分化,DNAと核蛋白,情報伝達と精子機能,精子の生物学的進化,精子学と野生生物の保全,精子と卵の相互作用,副性腺とその分泌液の役割,受精の発生機構,精子運動,精子細胞の操作,精子とヒトの妊孕性に分かれ,各々についてシンポジウム,口頭発表,ポスター発表が行われ,活発な討論が交わされた。出席者は三百数十名で,日本からは開催国スペインについで33名の多数が出席した。筆者の教室は,口頭では「Limited differentiation and survival of spermatogenic cells after grafting adult and immature human testicular tissues to immunodeficient mice」と,ポスターでは「Japanese semen quality:a cross-sectional study of fertile men」を発表した。これらについて精細胞や精巣組織の移植による妊孕能の回復・維持の研究リーダーであるDobrinski博士がたいそう興味を持ち,相互に意見の交換を行ったことは,今後の研究の発展の励みとなった。
掲載誌情報