文献詳細
特集 泌尿器科救急
文献概要
要旨 尿閉とは膀胱内に貯留した尿の自排が困難な状態であり,尿閉に対する処置は,膀胱内の尿を体外へ排出させる操作(導尿,膀胱瘻造設など)を行うことである。1,000ml 以上の導尿を行う際には,導尿に伴う血圧低下に対し,血圧・脈拍のモニタリングおよび血管ルートの確保を行い,導尿後は輸液による適切な体液量と電解質バランスの管理を行う。基本的に,尿閉に対しては原因検索よりも尿流出路の確保が優先されるため,尿道からのカテーテル挿入が困難な場合には,無理な操作は行わずに膀胱瘻を造設し,尿道の状態を正確に診断した後に治療法を考慮すべきである。尿閉に対する処置は,泌尿器科医が習得しておかなければならない基本的手技である。
参考文献
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