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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻3号

2007年03月発行

交見室

パートナーのクラミジア陽性

著者: 内木場拓史1

所属機関: 1池田病院泌尿器科

ページ範囲:P.267 - P.267

文献概要

 「家内がクラミジア陽性だと診断されたんですけど……」。診断した婦人科医に促されて,泌尿器科を受診する深刻そうな面持ちの男性。日常的にみるこのようなケースに悩まされているのは,私だけではあるまい。ほとんどが待望のわが子を授かった妊婦検診で明かされたこと,果たして夫の精査結果は陰性,しかも夫婦ともに性行為感染の「心当たりはない」とくる。複雑な心境にいる夫に,いかに対処すべきか。妻の不顕性感染,夫が感染させたあとに治癒した,などの可能性があるにはある。だが,「心当たりがない」2人を信用してみても,クラミジアの大半がSTDである旨を「医学的」に厳格に告げるべきか,あるいは「社会的」に柔軟に対処すべきなのか。

 教科書には「母体から腟に垂直感染することが稀にある」と記されている。また,「性行為以外の感染経路は不明」とする論文もある。そこで,親しい婦人科医に尋ねてみたところ,「女性は男性と違って常在することもあるって誤魔化しているよ。だって,わざわざ大事なときに,医師が夫婦仲をぎくしゃくさせる必要はないだろう」と返ってきた。以来,私もこのきわめて「社会的」な説明を用いている。医学=科学を厳格に扱うべき立場からは,批判される診療態度なのかもしれない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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