文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置 【膀胱穿刺(膀胱瘻造設)】
2.尿閉で尿道カテーテルが挿入困難であったために,膀胱瘻用のカテーテルを挿入した患者です。腸管損傷を避けるために恥骨の直上から穿針しましたが,尿の流出が得られません。どのように対処すればよいでしょうか。
著者: 石田俊哉1
所属機関: 1市立秋田総合病院泌尿器科
ページ範囲:P.22 - P.23
文献概要
設問のケースでは,腸管損傷を避けるために恥骨直上から穿刺したとのことであるが,恐らく穿刺部位が恥骨寄り過ぎたのではないかと思われる。これが穿刺失敗の一番ありがちな理由で,腸管損傷を恐れるがあまりに膀胱よりも骨盤底方向へ穿刺してしまっていると考えられる。恥骨直上からやや骨盤底方向へ穿刺すると,膀胱前腔を通過して前立腺を穿刺してしまう。穿刺針が膀胱や前立腺部尿道を一時貫いたりすると,穿刺の際に尿の逆流があったりして,さらに膀胱内と勘違いしやすくなる。尿閉で膀胱が緊満している場合は,恥骨上2横指より垂直方向からやや頭側方向が正しい膀胱の位置になる1)。
参考文献
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