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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅰ.泌尿器科処置 【膀胱穿刺(膀胱瘻造設)】

2.尿閉で尿道カテーテルが挿入困難であったために,膀胱瘻用のカテーテルを挿入した患者です。腸管損傷を避けるために恥骨の直上から穿針しましたが,尿の流出が得られません。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 石田俊哉1

所属機関: 1市立秋田総合病院泌尿器科

ページ範囲:P.22 - P.23

文献概要

膀胱瘻を挿入したが尿の流出が得られない。これは,通常,膀胱瘻カテーテルが膀胱内に入っていないということであろう。膀胱内に入っているにもかかわらず尿の流出がみられない可能性としては,カテーテルが屈曲している場合,あるいはカテーテルが血栓などで閉塞している場合などが考えられる。膀胱内にカテーテルが入っていない場合は当然尿の流出がないわけで,浅すぎて膀胱前腔にとどまっている場合と前立腺を穿刺した可能性と,さらに膀胱を貫いてデノビエ腔や直腸まで深く刺してしまった場合が考えられる。エコーガイド下に慎重に穿刺すれば避けられることであるが,膀胱穿刺は比較的容易な手技であるためブラインドで行われることも多く,油断すると合併症を起こしてしまうこともある。最も心配なのは直腸穿刺で,この場合はさまざまな合併症を引き起こす可能性がある。

 設問のケースでは,腸管損傷を避けるために恥骨直上から穿刺したとのことであるが,恐らく穿刺部位が恥骨寄り過ぎたのではないかと思われる。これが穿刺失敗の一番ありがちな理由で,腸管損傷を恐れるがあまりに膀胱よりも骨盤底方向へ穿刺してしまっていると考えられる。恥骨直上からやや骨盤底方向へ穿刺すると,膀胱前腔を通過して前立腺を穿刺してしまう。穿刺針が膀胱や前立腺部尿道を一時貫いたりすると,穿刺の際に尿の逆流があったりして,さらに膀胱内と勘違いしやすくなる。尿閉で膀胱が緊満している場合は,恥骨上2横指より垂直方向からやや頭側方向が正しい膀胱の位置になる1)

参考文献

1)橋本 博:経皮的膀胱瘻造設術.臨泌 59:369-373,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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