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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅰ.泌尿器科処置 【膀胱穿刺(膀胱瘻造設)】

3.尿閉で受診した患者です。導尿ができず局所麻酔下に経皮的膀胱瘻造設を行いましたが,1時間後より激しい腹痛を訴えるようになりました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 石田俊哉1

所属機関: 1市立秋田総合病院泌尿器科

ページ範囲:P.24 - P.25

文献概要

経皮的膀胱瘻造設の合併症には,出血,腸管損傷,尿路感染,結石形成などがある1)。このなかで早期に起こる合併症としては出血と腸管損傷が挙げられる。穿刺の際に膀胱表面あるいは粘膜下の血管を損傷して出血をきたすことがあり,通常は軽いことが多いのであるが,出血傾向のある患者では膀胱タンポナーデをきたすほどの出血を認めたりする。この場合は腹痛,尿意,そして当然ながら血尿を認める。腸管損傷は不注意な穿刺によるもので,最も避けたい合併症である。エコーで注意深く観察して穿刺を行えば通常は考えられない合併症であるが,下腹部の手術の既往があったり膀胱の膨らみが足りない状況での穿刺は腸管損傷のリスクを高める。膀胱瘻カテーテルがわずかに腹膜を損傷したくらいではなかなか症状は出現しないが,腸管を損傷した場合は比較的早期に腹痛,嘔吐,発熱などの症状を呈する。

参考文献

1)大家基嗣,村井 勝:経皮的膀胱穿刺とcystostomy.消化器外科 26:921-927,2003
2)宮崎 薫,市木康久,山口秋人:膀胱外傷.臨泌 58:13-15,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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