icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅰ.泌尿器科処置 【陰囊水腫穿刺】

7.陰囊水腫に対して穿刺排液処置を長期間繰り返してきた患者です。今回,穿刺排液中に血が混じり始め,血液の色が徐々に強くなってきました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 野口満1

所属機関: 1長崎大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.36 - P.37

文献概要

小児を除き,陰囊水腫の患者では穿刺排液処置を行うことがある。患者にもよるが,穿刺排液を行って数か月もするとまた同様な水腫の状態となり,再度穿刺を繰り返すことが多い。根治手術を行うか,穿刺排液後に塩酸ミノサイクリンなどの薬液注入による固定術など再発予防を行わない限り,水腫の穿刺は続くこととなる。

 このような経過中に,穿刺した排液が血性になることがある。原因は以下のような機序が考えられる。すなわち,(1)穿刺を繰り返すことにより反応性に精巣固有鞘膜の肥厚が生じ,そこに慢性炎症を伴うと穿刺後に肥厚した精巣固有鞘膜より出血が起こる,(2)穿刺により陰囊皮膚に付着している細菌が陰囊内に入り感染を起こしたため,(3)設問(6)で述べた陰囊内血腫が沈静化したのち,精巣固有鞘膜の線維化や肉芽形成を起こし,この部位から出血したため,(4)穿刺とは関係なく,精巣腫瘍や結核などが新たに発生したことに伴うもの,などが考えられる。

参考文献

1)Mostofi FK, Price EB:Fibrous pseudotumor. In:Tumor of Male Genital System. Armed Forces Institute of Pathology. Washington DC, pp151-154, 1973
2)Minagawa T, Hirabayashi N, Furuhata M, et al:Two cases of an intrascrotal cyctic mass mimicking a testicular tumor and review of the literature.泌尿紀要 52:311-314, 2006
3)Krainik A, Sarrazin JI, Camparo P, et al:Fibrous pseudotumor of the epididymis:imaging and pathologic correlation. Eur Radiol 10:1636-1638, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら