icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅰ.泌尿器科処置 【カテーテル留置(尿道留置)】

17.長期間,尿道カテーテルを留置している脊髄損傷の男性患者です。振子部尿道に長い尿道皮膚瘻が発生してしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 山口聡1 小山内裕昭1

所属機関: 1北海道社会事業協会富良野病院泌尿器科,尿路結石治療センター

ページ範囲:P.60 - P.62

文献概要

長期間,尿道カテーテルを留置されている患者では,その尿路合併症として,振子部尿道~球部尿道に尿道皮膚瘻を形成することがときどき認められる。尿道皮膚瘻が発生する機序として,(1)尿道留置カテーテル周囲の慢性的な炎症の持続,(2)カテーテル抜去や挿入に伴う尿道粘膜への機械的な損傷,などが主なものと考えられる。実際には,これらが長い間,繰り返されることにより,損傷距離の長い,難治性の尿道皮膚瘻が形成されていくと思われる。

 このような状況のほとんどは,種々の脊髄疾患や脳血管障害などの慢性疾患を管理するリハビリテーション施設や老人保健施設において認められ,肉眼的に明らかな尿道皮膚瘻が確認されてから,泌尿器科に相談に訪れることが多い。なかには相当こじれてしまった例も稀ではなく,泌尿器科医師にとってその取り扱いに迷うことも少なくない。そのような患者は,通常,長期臥床を余儀なくされており,それまでに専門医の診察を受けていないことで,情報不足に陥っている。また,最も現実的な問題としては,病院への搬送が困難であることや受け入れ先病院の体制不備など,医療行為以外のネガティブな背景の存在も否定できない。

参考文献

1)Hayashi Y, Kojima Y, Kurokawa S, et al:Scrotal dartos flap for the prevention of the urethrocutaneous fistula on hypospadias urethroplasty. Int J Urol 12:280-283, 2005
2)渡辺岳志,田中克幸,服部桂子,他:神奈川リハビリテーション病院脊髄損傷病棟における泌尿器科の役割について.横浜医学 56:181-187,2005
3)谷口成実,柿崎秀宏:排尿障害の外科的治療.神経内科 64:56-62,2006
4)Chartier-Kastler EJ, Thomas L, Bussel B, et al:A urethral stent for the treatment of detrusor-striated sphincter dyssynergia. BJU Int 86:52-57, 2000
5)米田健二,中野博,仁平寛巳,他:前部尿道結石を原因とした尿道皮膚瘻の1例.西日泌尿 48:587-589,1986
6)小澤秀夫,公文裕巳,那須良次,他:難治性会陰部尿道皮膚瘻を伴った臀部慢性膿皮症の1例.泌尿紀要 44:125-127,1998
7)中野洋二郎,高士宗久,佐井紹徳,他:BCG膀胱内注入療法後の副作用,尿道皮膚瘻・肉芽腫性前立腺炎.BCG免疫療法研究会会誌 14:47-50,1990
8)川畠尚志,小浜康彦,大井好忠:化膿性陰茎海綿体炎・尿瘻を併発した陰茎プロステーシスの1例.西日泌尿 51:2017-2021,1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら