特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置 【導尿】
20.前立腺の腫大により前立腺部尿道の屈曲が強く,通過が困難な患者です。カテーテルの種類および手技のコツなどを含め,どのように対処すればよいでしょうか。
著者:
中島耕一1
三浦一陽1
石井延久1
所属機関:
1東邦大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.70 - P.73
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尿道バルーンカテーテルの留置あるいは交換がスムーズにできないということで,他科の医師より依頼を受ける場面にしばし遭遇する。こういう場面には,いくつかのパターンがあると思われる。すなわち,(1)真性包茎で包皮輪が狭く包皮の翻転ができない。または包皮輪がピンホール様のためカテーテルそのものが通過させられない,(2)重篤な心不全のため包皮の浮腫が著明で包皮の翻転ができない。包皮輪からカテーテルを挿入しても亀頭と包皮の間でループして戻ってきてしまう,(3)振子部尿道で粘膜が弁状形成をしてカテーテルの挿入ができない,(4)球部尿道の狭窄によりカテーテルの挿入が困難である,(5)球部から膜様部尿道への解剖学的理由からカテーテル挿入が困難である,(6)前立腺部尿道の解剖学的理由からカテーテル挿入が困難である(図1),などである。
それぞれの場面において泌尿器科医の腕の見せどころであるが,本稿においては前立腺部尿道でのカテーテル留置困難に対する対応を述べることにする。