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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法 Ⅰ.泌尿器科処置 【カテーテル留置(腎瘻造設)】

22.経皮的に腎瘻を造設しようとしている患者です。誤って腎動脈を穿刺してしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 中島耕一1 三浦一陽1 石井延久1

所属機関: 1東邦大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.77 - P.79

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腎穿刺の施行においては腎の解剖,とりわけ腎の血管解剖を熟知している必要がある。腎動脈は区域動脈に分枝し,腎乳頭部付近で葉間動脈を分枝する。葉間動脈は皮質と髄質間で弓状動脈となり,これから皮質に向かって小葉間動脈となる(図1)。したがって,腎杯を目指して穿刺をする必要がある。腎乳頭部の間を穿刺して直接腎盂に穿刺すると,腎の主要な動脈あるいはこれに伴走する静脈の損傷を引き起こすことになる。

 諸家1,2)による腎瘻造設時の合併症と発生頻度の報告がある。このなかで腎動脈誤穿刺関連と考えられる合併症は,輸血を要する出血,緊急動脈塞栓術,腎摘出術の可能性である。それぞれの頻度は以下のように報告されている。すなわち,輸血を要する出血:5%以下,緊急動脈塞栓術:0.5%以下,腎摘出術の可能性:0.19%である。頻度は高くないと思われるが,常に対応をシミュレーションしておくことは大切なことと思われる。

参考文献

1)Picus DD, Weyman PJ, Clayman RV, et al:Intercostalspace nephrostomy for percutaneous stone removal. Am J Rad 147:393-397, 1986
2)Stables DP, Ginsberg NI, Johnson ML:Percutaneous nephrostomy:A series and review of the literature. Am J Roentgenol 130:75-82, 1971

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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