icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 A.体外衝撃波砕石術(ESWL) 【体外衝撃波砕石術(ESWL)】

33.体外衝撃波砕石術(ESWL)を施行した腎結石の患者です。術後被膜下血腫を認めました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 荒川孝1 藤崎明1 木村将貴1 服部一紀1

所属機関: 1国際医療福祉大学附属三田病院泌尿器科

ページ範囲:P.109 - P.112

文献概要

体外衝撃波砕石術(ESWL)術後の腎被膜下血腫の頻度は,平井ら1)がまとめた結果では0.078%~0.6%とされているが,Blangyら2)は放射線科医としての検索では12.5%にも上ると報告しており,実際には相当な割合で発症している可能性も否定はできない。筆者らもこれまでに3例のESWL術後腎被膜下血腫を経験しているが,自身でのESWL経験数からすると,実際には隠れた腎被膜下血腫症例があったのかもしれない。これら3例はESWL術後に際立った疼痛の訴えもなく,そのうち2例は術中超音波で監視していた症例であるが,残念ながら術中に血腫の発症には気づかなかった。たまたま3例ともに腎内のX線陰性結石であったため,術後F/U中にCTを実施した際に気づいたものである。2例は初回ESWLで,1例は2回目のESWLにて腎被膜下血腫が発症しているが,運よく3例とも結石破砕自体はその責任ESWLにより終了していた。

 もしまだ破砕しきれていない結石が腎内にあった場合にどうするかであるが,筆者らにはその経験はないが,自身の考えでは再度のESWLは慎重にならざるをえない。筆者らの症例では,腎被膜下血腫が自然吸収されたあとの患側腎は萎縮腎となった(図1)。機能自体が相当低下するため,もしも再度出血を起こした場合には機能は廃絶する可能性が高くなる。しかし,Serraら3)は10,953症例に対し21,699回のESWLを施行し,うち31例に腎出血を起こし(0.28%),残石があった7例に対し再度ESWLを施行したが問題はなかったと報告している。このような報告はあるが,せいぜい血腫が自然吸収されたあとの,時間が経過した段階で判断される事柄であろう。

参考文献

1)平井耕太郎,喜多かおる,北見一夫,他:ESWL後の腎被膜下血腫に対してTAEを施行した1例.泌尿紀要 51:175-177,2005
2)Blangy S, Folinais D, Sibert A, et al:Complications of the treatment of renal calculi by extracorporeal lithotripsy. Prospective evaluation of 80 treated kidneys. J Radiol 68:619-624, 1987
3)Collado Serra A, Huguet Perez J, Monreal Garcia de Vicuna, et al:Renal hematoma as acomplication of extracorporeal shock wave lithotripsy. Scad J Urol Nephrol 33:171-175, 1999
4)Knapp PM, Kulb TB, Lingeman JE, et al:Extracorporeal shock wave lithotripsy-induced perirenal hematomas. J Urol 139:700-703, 1988
5)Lipski B, Miller J, Rigaud G, et al:Acute renal failure from a subcapsural hematoma in a solitary kidney:an unusual complication of extra corporeal shock wave lithotripsy. J Urol 157:2245, 1997
6)Newman LH, Saltzman B:Identifying risk factor in development of clinically significant post-shock-wave lithotripsy subcapsular hematomas. Urology 38:38-38, 1991
7)Kostakopoulos A, Stavropoulos NJ, Macrychoritis C, et al:Subcapsural hematoma due to ESWL:risk factors. A study of 4,247 patients. Urol Int 55:21-24, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら