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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 B.尿路内視鏡手術 【経尿道的内尿道切開術】

35.経尿道的内尿道切開術を開始した患者です。狭窄が高度で,狭窄部の奥がどうなっているかわかりません。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 岡村菊夫1

所属機関: 1国立長寿医療センター泌尿器科

ページ範囲:P.116 - P.119

文献概要

経尿道的内尿道切開術に関する論文はさほど多くないが,世界的な傾向として,経尿道的内尿道切開術は,尿道狭窄に対する簡便な初回治療法として試みられることが多いようである。しかし,術後再狭窄の頻度は尿道形成術よりもはるかに高い。手術成功率はせいぜい60%に過ぎず,経尿道的内尿道切開術が尿道狭窄の標準術式というわけではない1,2)。手術成功の基準はあまり明確でなく,継続的に尿道ブジーを行っていても(目的は再狭窄の確認であるかもしれないが,尿道拡張術併用とも考えられる),再切開手術が行われていても,治療失敗とせずに複数回施行後の開存も成功として報告されていることもある。再狭窄は最も多い合併症なので,臨床の現場においては,再狭窄防止のため術後一定期間の定期的なブジーや間欠自己導尿の併用も考慮されるべきかもしれない。しかし,あまりに頻回にブジーを行わなければならないとすると,低侵襲とはいいがたい。

 経尿道的内尿道切開術の成績を左右する要因として,(1)狭窄の位置(振子部尿道,球部尿道,膜様部尿道),(2)狭窄の原因(外傷性,炎症性,医原性),(3)狭窄の距離(<2cm,2~4cm,4cm<),(4)狭窄箇所の数,などが挙げられる。術前の逆行性尿道膀胱造影や尿道鏡,場合によっては順行性膀胱造影,膀胱瘻からの内視鏡検査などによって,狭窄部の評価を念入りに行っておくことが重要である。

参考文献

1)Jordan GH, Schlossberg SM:Surgery of the penis and urethra. In:Walsh PC, Retik AB, Vaughan ED Jr, et al(eds):Campbell's Urology. 8th ed. WB Saunders, Philadelphia, vol. 4, chapt. 110,pp3887-pp3954, 2002
2)Naude AM, Heyns CF:What is the place of internal urethrotomy in the treatment of urethral stricture disease? Nat Clin Pract Urol 2:538-545, 2005
3)松岡 啓:内視鏡による尿道狭窄治療.西日泌尿 66:63-69,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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