icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法 Ⅱ.泌尿器科手術 B.尿路内視鏡手術 【経尿道的前立腺切除術(TURP)】

39.経尿道的前立腺切除術(TURP)を施行中の患者です。術中にTUR syndromeが起こりました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 松岡啓1

所属機関: 1久留米大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.126 - P.127

文献購入ページに移動
TUR syndromeはTUR反応1,2)とも呼ばれ,経尿道的前立腺切除術(TURP)施行の際に起こる独特の中毒症状である。TURPでは灌流液としてウロマチックTMを使用するが,低浸透圧で電解質を含んでいないので,この灌流液が体内に吸収されるとoverhydrationと低ナトリウム血症となる。一般に前立腺の静脈叢や骨盤の静脈では圧が約10mmHgであるとされている3)。したがって,いったん静脈叢が開くと前立腺部にかかる10mmHgより高い圧の灌流液はどんどん吸収されていく。

 TUR syndromeの発生は手術時間に比例するので,開始後1時間から1時間半を経過すると注意が必要である。しかしながら,開始後早期に静脈洞を開いた症例は出現しやすいので,これにも注意が必要である。

参考文献

1)伊藤泰二:前立腺肥大症に対するTURPの要点.メジカルビュー社,pp100-101,1993
2)山口秋人:Ⅲ.TURPの合併症とその対策.日本泌尿器科学会 2005年卒後・生涯教育テキスト.第10巻2号,pp59-67,2005
3)Greene LF, Segura JW:Transurethral Surgery. WB Saunders, Philadelphia, pp180-182, 1979
4)内田豊昭,足立功一,青輝 昭,他:経尿道的前立腺切除術(TURP)における術中・術後合併症とその対策.日泌尿会誌 84:897-905,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら