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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法 Ⅱ.泌尿器科手術 B.尿路内視鏡手術 【経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)】

45.経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を施行中の患者です。膀胱憩室にできた腫瘍がうまく切除できません。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 住吉義光1

所属機関: 1四国がんセンター泌尿器科

ページ範囲:P.140 - P.141

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膀胱憩室内腫瘍の発現頻度は膀胱腫瘍の0.8~10%と報告されている1)。膀胱憩室は粘膜と漿膜より構成されており,筋層は存在しない。このような解剖学的特性より,TURBTを行う際には合併症として穿孔を起こしやすいことを念頭に置くべきである。憩室内腫瘍が膀胱ファイバー検査などで確認されたら,まずCT scanやMRI検査で腫瘍の進行度を診断する必要がある。すなわち,腫瘍が憩室壁を越えて浸潤しているかどうかを確認しなければならない。壁外への浸潤が疑われれば危険を伴うTURBTは施行せず,cold cup biopsyによる病理組織学的診断を行う。Cold cup biopsyは,なるべく腫瘍の基部を採取する。ただし,cold cup biopsyといえども穿孔の危険性があり注意する。採取部位は電気凝固し,手術を終了とする。病理組織学的検査で膀胱癌との診断がつけば,TURBTを行わず,開腹手術を施行するのが標準的である。

 膀胱ファイバー検査で,憩室内に発赤,すなわち上皮内癌が疑われるような場合もcold cup biopsyを行い,電気凝固を行う。その際,roller ballを使用し憩室内の粘膜すべてを凝固するようにする。これは,憩室を除去するのと,上皮内癌の場合にはその後のBCG膀胱内注入療法の治療効果を向上させるためである。

参考文献

1)Baniel J, Vishna T:Primary transitional cell carcinoma in vesical diverticula. Urology 50:697, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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