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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 C.腹腔鏡下手術 【腹腔鏡下腎摘除術(後腹膜到達法)】

55.後腹膜到達法による腹腔鏡下腎摘除術を施行中の患者です。腎動脈はクリッピングのあと切断しましたが,腎静脈は術前の予想に反して分枝が複雑でGIAが掛けられません。分枝はそれぞれ比較的太いものです。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 寺地敏郎1

所属機関: 1東海大学医学部外科学系泌尿器科

ページ範囲:P.169 - P.171

文献概要

腎静脈の分枝が複雑ということなので,まず左腎摘除術と考えられる。左腎静脈に流入する静脈の主なものには腰静脈,性腺静脈,副腎中心静脈があり,ときに中心静脈よりも末梢側に流入する後副腎静脈が少し太くなっていることもある。腎静脈の分枝が複雑というのは,腎静脈が比較的中枢側で分かれた末梢側に先に述べた静脈のいずれか,あるいはすべてが流入している形を表していると思われる。また,性腺静脈そのものが複数存在する場合も,その腎静脈への流入の部位や形態が,腎静脈分枝の様子を複雑に見せることもある。さらに,末梢側で分かれている腎静脈の股の間を腎動脈が通過して腹側に回っている場合は,腎動脈のクリッピングそのものが難しいこともある。

 右腎で考えられるのは下大静脈に流入する部位で複数の分枝が合流している,あるいは腎静脈そのものが複数あり,それぞれ下大静脈に流入しているという形態くらいで,ともにGIAあるいはクリップで処理可能である。静脈が複数ある場合は,腎下極に向かう2本目あるいは3本目の腎動脈も存在することが多く,むしろこれらの動脈がしばしば下大静脈の前を横切ることに注意を払う必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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