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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 D.開腹手術 ■腎の手術 【腎移植術】

73.生体腎移植術を施行中,ドナー腎摘出術時に誤って尿管を途中で切断してしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 浅野友彦1

所属機関: 1防衛医科大学校泌尿器科

ページ範囲:P.225 - P.227

文献概要

腎移植の際の尿路再建術としては,尿管-尿管吻合ではなく,尿管-膀胱吻合が一般的に行われている。手術手技上の問題,血流障害,拒絶反応などの原因によって起こる腎移植後の尿路系の合併症の頻度は1~30%と報告されており,それほど稀なものとはいえない。このような合併症が起こったときに,対処法として移植尿管(腎盂)と自己尿管の吻合が行われることが多いが,そのような場合に備えてなるべく自己尿管を温存しておくために,初回の腎移植の際に尿路の再建法として尿管(腎盂)-尿管吻合が選択されることは少ない。

 ドナー腎摘出術の際に,誤って尿管を途中で切断してしまい,膀胱に吻合することが困難であるときには,一次的に移植尿管(腎盂)-自己尿管吻合術が行われる。吻合法としては,移植腎の尿管(腎盂)と自己尿管との端々吻合が行われることが多い。以前は,免疫抑制状態で閉塞腎を体内に残すことによる感染のリスクを回避するために,尿管を結紮した場合には固有腎の摘除が行われていた。しかしながら最近では,閉塞した自己腎を摘除しない場合でも閉塞腎に感染を起こすことは稀であり,逆に自己腎摘除術による合併症のほうが問題とされるようになり,特殊な場合を除いて自己腎摘除が行われることは少なくなってきている1,2)

参考文献

1)Rorenzo HHL, Pepera T, Williams G:Ureteroureterotomy and pyeloureterotomy without native nephrectomy in renal transplantation. Br J Urol 67:349-351, 1991
2)Salomon L, Saporta F, Amsellem D, et al:Results of pyeloureterostomy after ureterovesical anastomosis complication in renal transplantation. Urology 53:908-912, 1999
3)Gallentine ML, Wright Jr FH:Ligation of the native ureter in renal transplantation. J Urol 167:29-30, 2002
4)Kockelbergh RC, Millar RJ, Walker RG, et al:Pyeroureterostomy in the management of renal allograft ureteral complications:An alternative technique. J Urol 149:366-368, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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