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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法 Ⅱ.泌尿器科手術 D.開腹手術 ■膀胱の手術 【根治的膀胱全摘除術】

78.根治的膀胱全摘除術を施行中の膀胱癌の患者です。デノビア筋膜との癒着が強く,直腸前壁を損傷してしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 藤元博行1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院泌尿器科

ページ範囲:P.236 - P.237

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根治的膀胱全摘除術あるいは根治的前立腺全摘除術において直腸損傷は1%以下1~2)と稀ではあるが,起こりうる手術中のトラブルである。根治的膀胱全摘除術において直腸前壁を損傷するのは,特に男性においては腹膜翻転部が深く,直腸と膀胱の剝離において直視下に十分な視野が取れないことに起因していると思われる。設問の症例のように,デノビア筋膜との強い癒着がある場合や直腸と膀胱後面の剝離が不十分であり,側方の神経血管束を含むいわゆるlateral wingの処理の際に直腸筋層を鉗子で誤って挟んでしまうことなどが原因としてある。また,そもそもデノビア筋膜との間が強く癒着する原因としては,経尿道的前立腺摘除術(TURP)や放射線治療の既往3)がある場合が挙げられる。

参考文献

1)Walsh PC, Retik AB, Vaughan ED, et al(eds):Campbell's Urology. 8th ed. Saunders, pp2807, 2002
2)Skinner DG, Crawford ED, Kaufman JJ:Complications of radical cystectomy for carcinoma of the bladder. J Urol 123:640-643, 1980
3)Kozminski M, Konnak JW, Grossman HB:Management of rectal injuries during radical cystectomy. J Urol 142:1204-1205, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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