臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ．泌尿器科手術 D．開腹手術 ■尿路変向術 【回腸導管造設術】

82．外科にてS状結腸癌の手術中，膀胱への直接浸潤があるため骨盤内全摘となった患者です。回腸導管造設のため，尿管回腸吻合を行おうとしたところ，両側ともに重複腎盂尿管でした。どのように対処すればよいでしょうか。

著者： 高橋敦¹ 清水崇¹ 市原浩司¹ 高木良雄¹

所属機関： ¹函館五稜郭病院泌尿器科

ページ範囲：P.245 - P.249

文献概要

回腸導管における尿管回腸の吻合法として，多くの吻合法が報告されている^1）。分類としては，端側吻合か側側吻合か，あるいは逆流防止機構を有するかどうか（refluxingかnonrefluxingか）が挙げられるが，よく用いられている方法は次の二つと思われる。すなわち，左右尿管を1本ずつ端側吻合する古典的なBricker吻合^1,2）と，左右尿管を1本に縫合し導管口側に側側吻合するWallace吻合^1,3）である。いずれも，逆流防止機構を有しない吻合である。

参考文献

1）McDougal WS：Use of intestinal segments and urinary diversion. In：Walsh PC, Retik AB, Vaaughan ED Jr, et al（eds）：Campbell's Urology, 8th ed. WB Saunders, Philadelphia, pp3745-3788, 2002

2）Bricker EM：Substitution for the urinary bladder by the use of isolated ileal segments. Surg Clin North Am 103：1117-1130, 1956

3）Wallace DM：Ureteric diversion using a conduit：a simplified technique. Br J Urol 38：522-527, 1966

4）Gonzalez R：Operations for ureteral duplication. In：Hinman F Jr（ed）：Atlas of Urological Surgery. 2nd ed. WB Saunders, Philadelphia, pp809-814, 1998

5）上岡克彦：尿管尿管吻合術．村井　勝，山口　修，松田公志（編）：Urology Surgeryシリーズ5．小児泌尿器科手術．東京，メジカルビュー社，pp48-52，2000