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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法 Ⅱ.泌尿器科手術 D.開腹手術 ■尿路変向術 【自己導尿型代用膀胱造設術(CUR)】

88.小腸にて新膀胱を形成した患者です。尿道と吻合しようとしましたが緊張が強く接着できません。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 上領頼啓1 占部裕巳1

所属機関: 1済生会下関総合病院泌尿器科

ページ範囲:P.262 - P.270

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膀胱全摘後の尿路変向術には種々の方法があるが,近年,自然排尿型尿路変向術がほかの術式に比べて術後のQOL(quality of life)が高いことから各施設で盛んに行われるようになった。自然排尿型尿路変向術は腸管を用いて低圧で高容量のパウチを作製し,尿道の切断端に吻合する方法で,用いる腸管あるいはパウチの作製方法により多くの術式が報告されている。それぞれに長所と短所があり,唯一絶対なものはなく,慣れた方法を用いるのがよい。

 回腸でパウチを作製する利点は,(1)大腸より手術侵襲が小さい,(2)回腸導管による尿路変向術に慣れている,(3)回腸は血流が豊富で縫合不全が少ない,(4)大腸壁に比べて回腸壁は薄いため内圧が低く尿失禁が少ない,(5)尿道と吻合する部位が自由に選べる,などである(表1)。回腸を用いた術式は簡単とはいっても,本手術を成功に導くためには高度の技術が要求される。手技の巧拙で術後のQOLは大いに異る。合併症がなく良好に経過した症例とそうでない症例とではその落差が大きい。本手術に伴う合併症については軽重の差はあれ,多くのものが報告されているが,そのなかでもパウチ・尿道吻合部狭窄は重要な合併症の1つである。藤澤1)の報告では5.5%,当科の症例では1.8%であった。狭窄の原因として吻合部の血流障害やパウチ・尿道縫合不全がある。縫合不全により尿漏を生じ,やがて自然治癒となっても吻合部の狭窄や変形を生じて排尿困難を引き起こし,術後のQOLに影響を与えることになる。作製したパウチが骨盤底に十分に下降せず尿道との吻合部に強い緊張が掛かることがパウチ・尿道縫合不全の大きな原因である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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