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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 D.開腹手術 ■前立腺の手術 【前立腺被膜下摘除術】

92.恥骨後式で前立腺被膜下摘除術を行った患者です。核出後の膀胱頸部側は取りっぱなしのままで,出血が続いています。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 亭島淳1 松原昭郎1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科腎泌尿器科学

ページ範囲:P.285 - P.287

文献概要

前立腺肥大症に対する基本術式としては経尿道的前立腺切除術(transurethral prostatectomy:以下,TURP)が標準術式として普及しており,前立腺肥大症による閉塞症状を有し,手術適応となる前立腺肥大症症例の大半はTURPが施行されている。現在では前立腺肥大症に対する手術療法全体のうち,前立腺被膜下摘除術の頻度は約6%程度と低い1)。しかし,前立腺肥大症による腺腫のサイズが大きい症例ではTURPでは時間がかかるうえに,出血のコントロールが困難な場合もあるため,比較すると必ずしも低侵襲とはいえず,前立腺被膜下摘除術の適応となっている。また,経尿道的に摘出困難な膀胱結石や膀胱内異物の処理が必要な場合にも前立腺被膜下摘除術が選択される。

 前立腺被膜下摘除術には,前立腺被膜前面を切開して腺腫を摘出する恥骨後式前立腺被膜下摘除術,膀胱壁を切開して膀胱内から膀胱三角部に環状切開を加えて腺腫を核出する恥骨上式前立腺被膜下摘除術,会陰部から前立腺後面に到達し被膜を切開して腺腫を核出する会陰式前立腺被膜下摘除術がある。恥骨後式前立腺被膜下摘除術では,下腹部を切開してレチウス腔に到達,前立腺前面を展開し,浅中心静脈を処理し脂肪組織を除去して前立腺被膜を露出する。被膜に約5針ずつ2列の止血結紮を行ったのち,その間に横切開を加え,外科的被膜と腺腫との間を剝離して腺腫を核出する。会陰式のアプローチは直腸損傷の危険性があるため,現在,前立腺肥大症に適用されることは少ない2)

参考文献

1)内田豊昭:EBMに基づく前立腺肥大症診療.泌外 15:1025-1029,2002
2)岡田謙一郎,鈴木裕志,青木芳隆:会陰式前立腺摘除術.村井 勝・他(編):Urologic Surgeryシリーズ,前立腺の手術.第1刷,メジカルビュー社,pp30-35,2001
3)三田耕司,松原昭郎,碓井 亞:前立腺被膜下摘除術.臨泌 56(増):107-115,2004
4)塚本泰司:村井 勝・他(編):Urologic Surgeryシリーズ,前立腺の手術.第2刷.メジカルビュー社,pp22-29,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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