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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 D.開腹手術 ■前立腺の手術 【前立腺全摘除術】

95.前立腺全摘除術を施行中の患者です。精囊が癒着していてなかなか剝離できません。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 斎藤誠一1

所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.296 - P.299

文献概要

精囊が癒着しているのは,癌の浸潤がかなり広範囲に生じているか,血管によって固定されて剝離が難しい状況と考えられるが,前者は術前の臨床診断で見分けることができると考えられるので,後者のことを指していると考えられる。精囊の血管は,切離したあとはポケット状のなかに引き込まれる。細いながら傷つければかなりの出血をきたし,これに対して止血のためにポケット内で電気凝固を頻用すれば,神経血管束や骨盤神経叢の損傷にもつながるため,確実にクリップで止血しつつ精囊を剝離する操作が求められる。

 処理法の要点は,精囊の血管を直視できるようにすることであり,前立腺と膀胱頸部との離断前に精囊周囲を剝離し血管を処理する方法,それらの離断後に精囊を処理する2通りの方法がある1,2)。これらの方法は,術者の慣れや状況(前立腺を起こしにくいときは後者を選択するなど)に応じて使い分ければよいと考えられる。

参考文献

1)Walsh PC:Anatomic radical retropubic prostatectomy. In:Walsh PC, Retik AB, Vaughan ED, et al(eds):Campbell's Urology. 8th ed. Philadelphia, Saunders, pp3107-3129, 2002
2)Walsh PC:Radical retropubic prostatectomy. A detailed description of the surgical technique. DVD Video, Brady Urological Institute, 2003
3)荒井陽一:恥骨後式神経温存前立腺全摘術―逆行性神経温存術式.Urologic Surgeryシリーズ6.メジカルビュー社,pp63-73,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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