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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科61巻4号

2007年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法

Ⅱ.泌尿器科手術 D.開腹手術 ■尿道の手術 【尿道外傷に対する尿道形成術】

102.高所で作業中に足を滑らせて会陰部を強打した患者です。尿道より出血は続くものの,尿が出ず受診しました。尿道カテーテルは入らず尿道完全断裂と判断し,応急処置として局所麻酔下に膀胱瘻を造設しました。今後の治療方針について悩んでいます。どのように対処すればよいでしょうか。

著者: 山本泰久1

所属機関: 1山本泌尿器クリニック

ページ範囲:P.318 - P.319

文献概要

尿道損傷は,大きく球部-膜様部にかけての前部尿道損傷と,膜様部-前立腺部にかけての後部尿道損傷に分類される。設問の症例のように会陰部を強打した場合は,最も厄介である後部尿道の完全断裂が生ずることがある。後部尿道損傷は狭窄,尿失禁,性機能障害などの合併症に苦慮することが多い。また,適切な治療を行わないと手術を繰り返したりするなど泥沼にはまり,患者のQOL(quality of life)を大きく損なうことになる。

 まず正確な診断が必要である。自信がなければ膀胱瘻を留置したのち,経験豊富な泌尿器科医に紹介するべきである。

参考文献

1)長田尚夫:後部尿道狭窄に対するpull-through手術.吉田 修,他(編):モダンクリニカルポイント泌尿器科.金原出版,東京,pp240-241,1993
2)井上武夫,長田尚夫,平野昭彦,他:尿道狭窄の手術療法.Ⅴ報.骨盤骨折による後部尿道狭窄の形成術後の尿失禁について.日泌尿会誌 77:415-420,1986
3)Hinman F:Urethra reconstruction. In:Atlas of Urologic Surgery. Saunders, New York, pp205-209, 1989
4)福岡 洋,石橋克夫,酒井直樹,他:Pull-through法による後部尿道形成術の経験.泌尿器外科 1:59-63,1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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