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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻1号

2008年01月発行

小さな工夫

骨盤臓器脱(性器脱)に対するTVM手術での器械出し位置の工夫

著者: 鈴木省治1 加藤久美子2

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院産婦人科 2名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科

ページ範囲:P.66 - P.67

文献概要

 通常の腟式手術では,器械出し介助者は図1のように術者と助手の後方で,患者の股間に位置する。この方法では術野が不潔になりやすいが,腟は消毒後も準清潔野であり,手術操作で人工素材を挿入することがなければ問題は少ない。なぜなら仮に術後感染が起きても,多くは経過観察や抗生剤投与でことなきを得られるからである。

 われわれは,近年欧米で骨盤臓器脱(性器脱)の手術に使用されるようになったポリプロピレンメッシュを用いた手術を,2005年から開始して現在までに300例余り行った。その1つであるTVM(tension-free vaginal mesh)1)手術導入当初は,従来の腟式手術に準じて術者と助手の後方に消毒盤台を置き,介助者は台の後ろに立った。未熟な術式とも関係したのであろうが,17症例目で術後早期に腟壁血腫の感染をきたし,腟壁へのメッシュ露出後に性器脱再発に至った。TVM手術に用いるモノフィラメントのポリプロピレンメッシュは比較的感染に強いと報告されているが,術後メッシュが安定化するまでに最低4週間が必要である。この期間に感染を起こすと,メッシュと組織の一体化が妨げられ,手術が不成功に終わる危険性が高い。

参考文献

1)Debodinance P, Berrocal J, Clave H, et al:Changing attitudes on the surgical treatment of urogenital prolapse:birth of the tension-free vaginal mesh. J Gynecol Obstet Biol Reprod 33:577-588, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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