文献詳細
画像診断
腹部CT検査を契機に偶然発見された腎盂癌の2例
著者: 田沼康1 榮浪克也2 岡本知士3
所属機関: 1社会福祉法人北海道社会事業協会函館病院泌尿器科 2社会福祉法人北海道社会事業協会函館病院内科 3岡本ひ尿器科医院
ページ範囲:P.816 - P.818
文献概要
患 者 57歳,男性。
主 訴 左側腹部痛。
既往歴・家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 2007年9月に突然発症した左側腹部痛を主訴に当科を受診した。腹部単純CT上,左下部尿管に径2mmの結石像と,左上腎杯に腫瘤影を認めた(図1)。
入院時検査所見 血液生化学検査では異常所見を認めず,検尿では軽度の血尿(RBC 4~5/hpf),また自排尿細胞診はclass Ⅱであった。
画像所見 IVP上,尿管結石は不明瞭であったが,CT所見に一致して左上腎杯に不整な陰影欠損を認めた(図2)。
経 過 尿管結石として加療開始2日目に自然排石し,その後血尿は消失したが,腎盂癌が疑われたため軟性尿管鏡下生検術を施行した。尿路上皮癌(UC,G2)を認めたため,左腎盂癌(T2N0M0)の診断で経後腹膜的腎尿管摘除術および尿管引き抜き術を施行した。
病理組織学的所見 粘膜固有層への浸潤をみるが筋層浸潤と腎実質への浸潤を認めず,生検組織と合致した所見であった(UC,G2,pT1,INFα,ly0,v0,ew0)(図3)。
術後経過 術後経過は良好であり,以後外来にて経過観察中である。術後6か月現在,再発・転移を認めていない。
参考文献
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