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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻12号

2008年11月発行

文献概要

交見室

早期腎癌に対する腎部分切除術の普及を妨げているものは何か?

著者: 勝岡洋治1

所属機関: 1大阪医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.1009 - P.1009

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 小さな腎腫瘍に対する外科的治療の自験例を再評価し,根治的腎摘除術(radical nephrectomy:RN)を行った患者と腎部分切除術(partial nephrectomy:PN)を行った患者の全生存率を比較した成績が発表されている(Thompson RH, et al:J Urol 179:468-473, 2008)。これらの結果から,PNに比較してRNは,小さな腎腫瘍を有する比較的若年の患者の全生存率を低下させることが示唆された。

 RNで治療した患者とPNで治療した患者の腫瘍学的転帰は同等であることが多数の報告で明らかにされているにもかかわらず,こうした結果が得られたことから,癌以外の原因による死亡の関与が考えられるが,本論文の著者らは,ネフロン量の喪失に伴う慢性腎機能低下のために心血管イベントや大腿骨骨折の易罹患性が高くなり,その結果として長期的な死亡のリスクが増加した可能性があるとの仮説をたてている。しかし,本研究の解析方法や統計学手法における問題が指摘され,著者自身も述べているように,本研究のデータは仮説形成的な成績であり,現時点で確定的な結果とはみなされない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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