文献詳細
画像診断
術前検査にて膀胱腫瘍が疑われたTUR後の前立腺再肥大
著者: 小島圭太郎1 亀井信吾1 出口隆1
所属機関: 1岐阜大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.1088 - P.1090
文献概要
主 訴 肉眼的血尿。
既往歴 10年前に他院にて経尿道的前立腺切除術を施行した(病理診断:前立腺肥大症)。
現病歴 2002年頃より間欠性の無症候性肉眼的血尿が出現したが放置していた。2006年9月,夜間頻尿が出現し,近医を受診。PSAが8.8ng/m
現症・検査 直腸診では前立腺は表面平滑で弾性軟であり,軽度の腫大を認めた。血液検査では異常を認めず,尿細胞診は陰性であった。尿検査では血膿尿を認めた。軟性膀胱鏡検査で,膀胱頸部より膀胱内に突出する乳頭状広基性腫瘍を認めた(図1)。
画像所見 腹部骨盤部CTでは,膀胱内に6×6cm径大の石灰化を伴う腫瘤を認めた(図2)。MRIにおいても,同径大の巨大腫瘍を認めた(図3)。画像所見から,当初は膀胱悪性腫瘍が疑われた。前立腺との連続性も認められ,前立腺原発の可能性も否定できなかった。
経 過 画像検査では肉腫を含めた膀胱悪性腫瘍の前立腺浸潤を疑ったが,膀胱鏡所見において表面は発赤などなく,典型的な膀胱癌とは異なっていた。そのため,2006年11月に病理診断を目的に経尿道的切除を施行した。切除標本は尿路上皮に異常を認めず,粘膜下に腺管および間質の増生を認めたため,前立腺組織由来の腺腫と診断された。
参考文献
掲載誌情報