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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻2号

2008年02月発行

文献概要

画像診断

腎被膜下血腫の経過観察中に診断し得た腎腫瘍

著者: 菊川忠彦1 島本憲司1 横山雅好1

所属機関: 1愛媛大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.156 - P.158

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 患 者 78歳,男性。

 主 訴 後腹膜腫瘤。

 既往歴 10年前に前立腺肥大症に対し,恥骨後式前立腺摘除術を受けた。2年前より脳梗塞のため塩酸ピクロナジンを内服中。

 経 過 2006年1月に感冒にて内科を受診した際,超音波検査にて右後腹膜腫瘤を指摘された。数日後,近医泌尿器科を受診し,造影CTで内部不均一な右後腹膜腫瘤を指摘されたため塩酸ピクロナジンを中止し(図1),2月初旬当院に紹介され受診した。

 当院での造影CTで腫瘤内に造影効果がないため右腎被膜下血腫と診断し(図2),経過観察とした。同年3月,再度CTを撮影すると被膜下血腫と思われた部位は縮小していたが,内部にわずかに造影される部位が存在した(図3)。4月に再度CTおよびMRIを撮影したところ,囊胞内に2cm大の造影される部位があり,出血を伴う腎細胞癌と診断した(図4)。他に転移はなく,臨床病期T1b N0M0と診断し,2006年7月に根治的右腎摘除術が施行された。右腎は周囲との癒着が著明で,剝離は困難を極めた。病理組織診断は淡明細胞癌を伴う乳頭状腎細胞癌であり,造影された部位と点線で示した淡明細胞癌の存在していた部位は一致していた(図5)。

参考文献

1)藤田哲夫,吉田一成,斉藤 毅,他:腎細胞癌との鑑別が困難であった右腎囊胞内血腫を発症した維持血液透析患者の1例.透析会誌36:1573-1577,2003
2)井上博夫,三村祐次,石塚 修:一部が腎細胞癌と思われた萎縮腎.臨泌60:426-427,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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