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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション 1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【膀胱炎】

1.受診時ごとに検尿を調べると膿尿を認める車椅子生活の高齢患者です。不定期に抗生物質を投与しましたが効果がありません。対処と処方について教えてください。

著者: 鈴木九里1 五十嵐一真1 関根英明2 石井延久3

所属機関: 1日産厚生会玉川病院泌尿器科 2帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科 3東邦大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.17 - P.18

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1 診療の概要

 膿尿とは尿沈渣法で,白血球数≧5WBC/HPF,または非遠心尿を用いる計算盤法(chamber method)で,白血球数≧10WBC/mm3と定義されている1)。女性および包茎の男性は,外陰部の分泌液などによる尿汚染が生じる場合があるので,採尿前に陰部を清拭綿等でよく清拭する必要がある。簡易的には中間尿採取法で行う。設問の患者では,カテーテルで尿を採取したほうがよいと思われる。

 また,患者は車椅子生活を強いられている高齢者であるので,何らかの基礎疾患を考慮しなければならない。脳血管障害,脊髄疾患,糖尿病などによる神経因性膀胱や尿路結石,前立腺肥大症,尿道狭窄,尿路悪性腫瘍,尿路系カテーテル留置などの合併も考えられる。これらの場合,細菌はバイオフィルム2)を形成し,難治性の膿尿,細菌尿の原因となる。

参考文献

1)日本泌尿器科学会,尿路感染症臨床試験ガイドライン作成委員会:尿路感染症臨床試験ガイドライン.金原出版,東京,1998
2)公文裕己:2.UTIの基礎―難治性UTIの因子―バイオフィルム感染症を中心に.日本泌尿器科学会1996年東部・中部・西日本総会卒後・生涯教育テキスト.第6章「尿路性器感染症(UTI)の基礎と臨床」.日本泌尿器科学会,pp92-96,1996
3)石原 哲:3.慢性尿路感染症.日本泌尿器科学会2001年卒後・生涯教育テキスト.第6章「尿路性器感染症」泌尿器科感染症における抗菌薬の使い方―耐性菌対策に配慮した使用とは? 日本泌尿器科学会,pp131-137,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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