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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション

1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【尿道炎】

7.排尿時痛ならびに黄白色の尿道分泌物を主訴に来院した30歳の男性患者です。1週間テトラサイクリンを内服したにもかかわらず改善しません。対処と処方について教えてください。

著者: 高橋聡1

所属機関: 1札幌医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.34 - P.35

文献概要

1 診療の概要

 男性の尿道炎は,起炎微生物により淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分類される。淋菌性尿道炎は淋菌感染によるもので,強い排尿痛,外尿道口からの膿性分泌物,亀頭部の発赤などの症状が特徴的で,非淋菌性尿道炎と比較して症状の程度が強い1)。非淋菌性尿道炎は,Chlamydia trachomatis, Mycoplasma genitalium などの感染による。これら以外にもウレアプラズマの関与も疑われているが,確立されてはいない。軽度の排尿痛,外尿道口からの漿液性分泌物などの症状が特徴的であるが,無症候性の場合も少なからずある。淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎は,症状から判断して大まかに鑑別することも可能であるが(表1),M. genitaliumによる尿道炎では,症状の程度が強い場合もあり,念頭に置く必要がある。

 淋菌性尿道炎に対する治療としては,経口抗菌薬に対する淋菌の耐性化が著しいことから,注射用抗菌薬により治療すべきである2)。非淋菌性尿道炎に対する治療としては,テトラサイクリン系,マクロライド系,ニューキノロン系抗菌薬が有効であり,治療に難渋することは稀である。

参考文献

1)Takahashi S, Takeyama K, Kunishima Y, et al:Analysis of clinical manifestations of male patients with urethritis. J Infect Chemother 12:283-286, 2006
2)日本性感染症学会(編):淋菌感染症,性感染症診断・治療ガイドライン2006.日性感染症会誌 17:35-39,2006
3)高橋 聡,竹山 康,国島康晴,他:クラミジア性尿道炎に対する治療後の治癒判定に関する問題点.日性感染症会誌 15:101-104,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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