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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション

1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【尿道炎】

8.尿道周囲炎と診断した患者です。保存的治療のポイントについて教えてください。また,ドレナージを必要とする場合はどんなときでしょうか。

著者: 高橋聡1

所属機関: 1札幌医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.36 - P.37

文献概要

1 診療の概要

 男性の尿道炎は,比較的若い年代では性感染症として淋菌やクラミジア・トラコマティスが起炎微生物となり発症する。中高年の男性は,明らかな性感染症の感染の機会がない限りは,グラム陰性菌などによる細菌感染が原因となる。非淋菌性尿道炎の一部を除いて,尿道炎の症状としては,排尿痛,頻尿,尿道分泌物があり,検査所見としては,膿尿を認める。つまり,症状があるために,泌尿器科などを受診し,治療を受けることになる。起炎微生物の推測を誤らなければ,抗菌薬による治療で症状は改善する。したがって,例外を除いて,尿道炎が重症化するのは,尿道周囲というよりは急性精巣上体炎などへの進展である。もちろん,無症候性感染の頻度が高いクラミジア・トラコマティス感染では,尿道周囲までの炎症の波及は極めて稀と考えられる。

 尿道周囲に炎症を生じるような疾患としては,陰茎海綿体膿瘍や化膿性陰茎海綿体炎が挙げられる。陰茎海綿体膿瘍は,プロステーシスなど異物の挿入1,2),外傷,薬物(注射)など原因がはっきりしているものもあるが,原因が不明とされているものが多い3~6)(表1)。発症時の年齢別では,比較的若年者では外傷やプロステーシスなど明らかな誘因があるものが多く,中高年者では原因が明らかでないものが多い3)。尿道炎の関与については明らかではない。

参考文献

1)川畠尚志,小濱康彦,大井好忠:化膿性陰茎海綿体炎・尿瘻を併発した陰茎プロステーシスの1例.西日泌尿 51:2017-2021,1989
2)影林頼明,林 美樹,平尾和也,他:陰茎海綿体感染を合併した美容形成医によるシリコン・ロッド挿入術の1例.泌尿紀要 37:1555-1557,1991
3)指出一彦,松田隆晴,諸角誠人,他:急性化膿性海綿体炎の1例.西日泌尿 63:349-351,2001
4)高橋 聡,宮本慎太郎,橋本次朗,他:保存的治療にて治癒した陰茎海綿体膿瘍の1例.泌外 18:71-73,2005
5)南 高文,梶川博司,片岡喜代徳:陰茎海綿体膿瘍の2例.泌尿紀要 52:387-389,2006
6)野口正典,野田進士,江藤耕作:除草薬(パラコート)による化膿性陰茎海綿体炎の1例.西日泌尿 52:1053-1056,1990
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8)中島幹夫,米田文男,辻村玄弘,他:特異な経過をとった化膿性陰茎海綿体炎の1例.西日泌尿 48:1685-1688,1986
9)西田秀樹,井上明道,松井克明,他:化膿性陰茎海綿体炎の1例.西日泌尿 49:917-920,1987
10)亀田晃司,林 宣男,有馬公伸,他:陰茎海綿体膿瘍の1例.泌尿紀要 44:893-895,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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