臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション

1．尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【尿道憩室炎】

20．尿道憩室炎または尿道周囲炎が疑われる女性患者です。対処と処方について教えてください。

著者： 永尾光一¹ 小林秀行¹ 原啓¹ 石井延久¹

所属機関： ¹東邦大学医学部泌尿器科

ページ範囲：P.71 - P.73

文献概要

1　診療の概要

　尿道憩室は，尿道と交通を有する囊状腔を形成する憩室で，尿道腟中隔に存在する。発生頻度は，1～5％^1,2）で，腹圧性尿失禁の女性では1.4％に認められる。

　原因は，先天性ではGartner管の遺残，原始尿生殖洞の癒合不全，ミュラー細胞の遺残，拡張した傍尿道囊腫，尿管の盲端と関連したものなどが考えられる^3）。後天性では，分娩による尿道損傷，膀胱鏡などによる機械的損傷，尿道結石による損傷，尿道腺の感染などが考えられる。

参考文献

1）Aldridge CW, Beaton JH and Nanzig RP：A review of urethroscopy and cystometry. Am J Obstet Gynecol 131：432-435, 1978

2）Robertson JR：Genitourinary Problems in Women. Springfield Ⅲ. Charls C Thomas, 1978

3）Rovner ES：Bladder and urethral deverticula. In：Wein AJ et al（eds）：Campbell-Walsh Urology. 9th ed. Saunders, Philadelphia, p1208, 2007

4）Lee RA：Diverticla of the urethra：clinical presentation, diagnosis and management. Clin Obstet Gynecol 27：490-498, 1984

5）石井泰憲：1．尿路・性器の炎症性疾患　尿道憩室炎．臨泌 59（増刊）：75-77，2005

6）黒川　純：1．尿路・性器の炎症性疾患　尿道周囲炎．臨泌 59（増刊）：38-39，2005