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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション

1.尿路・性器の炎症性疾患 ■性感染症 【尖圭コンジローマ】

24.陰茎に小結節病変を認め尖圭コンジローマが疑われる患者です。診断のポイントと対処について教えてください。

著者: 澤村正之1

所属機関: 1新宿さくらクリニック

ページ範囲:P.83 - P.86

文献概要

1 診療の概要

 尖圭コンジローマは,human papilloma virus(HPV)感染による良性腫瘍である。HPVは性的接触によって感染するが,健常皮膚に侵入することは稀で,ヘルペスや亀頭包皮炎など皮膚が損傷する場合に発症しやすい。したがって,性行為の際に外的刺激を受けやすい包皮反転部や亀頭環状溝に好発する。近年,コンドーム使用率の低下に伴い亀頭部や外尿道口の病変が増加している(図1a)。これらの部位は皮膚が薄く直下に血流が豊富なことから,陰茎軸部に発生した腫瘍とは比べものにならないほど治療が難しい1,2)。口腔粘膜や肛門周囲など,陰茎以外の部位に発生することも稀ではないので注意が必要である(図1b)。

 腫瘍が小さい場合は皮膚のしわに隠れて見逃しやすいので,強い光のもとで皮膚のしわを伸ばして光の当たる角度を変えながら観察する3)。筆者は診察ベッド近くの壁にシャウカステンを掛けて観察している。色調は周辺皮膚とほぼ同じだが,どんなに小さな腫瘍でも肉眼で見えるものはさらに小さな腫瘍の集簇なので,表面が顆粒状で泡立つようなイメージがある。皮下に局麻剤などを注入すると上記の特徴がさらにはっきりする。指先で軽く触れると,こりこりとした硬さを感じる。

参考文献

1)澤村正之:直腸肛門の性感染症.日本大腸肛門病会誌 59:832-835,2006
2)澤村正之:STDの現状―特に口腔咽頭の病変について―.東京都耳鼻咽喉科医会誌 120:45-51,2006
3)澤村正之:日常診療で男性STDを見逃さないコツ.治療 84:1927-1930,2002
4)竹之内辰也:イミキモドの作用機序と対象疾患.斎田俊明,飯塚 一(編):皮膚疾患の最新医療.先端医療技術研究所,pp50-52,2006
5)川島 眞:尖圭コンジローマの診断と治療.臨床医薬 22:353-358,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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