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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション 2.神経因性膀胱障害と尿失禁 ■神経因性膀胱障害 【蓄尿障害】

33.膀胱容量は100ml未満で,強い無抑制収縮が生じる脊髄損傷(高位胸髄レベル)の男性患者です。残尿はなく,抗コリン薬の内服でも改善しません。対処と処方について教えてください。

著者: 岩坪暎二1

所属機関: 1北九州古賀病院排泄管理指導室

ページ範囲:P.114 - P.115

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1 診療の概要

 高位胸髄レベルの脊髄損傷者で生じる強い膀胱収縮は,排尿筋反射(反射性収縮)で無抑制収縮とは呼ばない。残尿がないのは,尿路感染が起きにくいバランス膀胱状態といい,排尿訓練がうまくいった結果である。しかし,反射性尿失禁となるために,コンドームタイプの集尿器をつけて社会復帰するのが常であった。なかには,第6胸髄レベル以上の高位であれば,自律神経過緊張反射という不愉快で苦痛な症状を伴うことがあり,尿がたまると,顔面紅潮,全身のゾクゾク感や発汗,割れるような頭痛など,発作性高血圧症状のために苦しむことも少なくない。自律神経過緊張症状が強くて,抗コリン薬内服でも膀胱容量が100ml未満なら実用的な自己導尿はできないので1),古典的対応としてコンドームタイプ集尿器を用いるのもよい。どうしても失禁のない自己導尿が望みなら,1.オキシブチニン膀胱内注入,2.ボツリヌス菌毒素製剤膀胱壁内注射療法(BTX-A療法)も考えられる。

参考文献

1)岩坪暎二,小嶺信一郎,山下博志:脊損者の自律神経障害―起立性低血圧と自律神経過緊張反射.総合リハ 11:427-432,1982
2)岩坪暎二,木元康介,尾田篤実:陳旧性脊髄損傷患者の尿路管理とQOL.総合リハ 19:689-693,1991
3)Madersbacher H and Jilg G:Control of detrusor hyperreflexia by intravesical instillation of oxybutynin hydrochloride. Paraplegia 29:84-90, 1991
4)浪間孝重,池田義弘,大沼徹太郎:脊髄疾患による神経因性膀胱に対するボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(BTX-A療法)の経験.日脊障医誌 20:2000-2001,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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