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2.神経因性膀胱障害と尿失禁 ■尿失禁 【遺尿症(夜尿症)】
43.抗コリン薬による口腔内びらんをきたした夜尿症児です。対処と処方について教えてください。
著者: 山西友典1 水野智弥1 吉田謙一郎1
所属機関: 1獨協医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.146 - P.148
文献概要
夜尿症の原因の1つとして,膀胱容量が小さいことが挙げられる。特に,頻尿,尿意切迫感,昼間の尿失禁を伴うタイプ(non-monosymptomatic)の夜尿症は,成人の過活動膀胱と同様に排尿筋過活動が原因と考えられ,抗コリン薬が有効であると報告されている1)。抗コリン薬の副作用として唾液腺分泌の低下による口内乾燥があるが,そのために虫歯や口腔内びらんをきたすことがある。前述のように,夜尿症の治療に際し抗コリン薬が有効であるのは,通常,昼間の尿失禁を伴う場合が多い。
膀胱容量が正常,特に夜尿症のみ(monosymptomatic)の場合は,前項([42]参照)で述べた治療法を行い,無効であった場合に“試してみる”程度の価値しかないので,副作用が認められれば中止をして,他の治療法を選択すべきである2,3)。また小児における抗コリン薬の安全性は確立されておらず,中枢移行の可能性のある抗コリン薬は注意が必要である。最近発売された抗コリン薬(トルテロジリン®やソリフェナシン®)は長時間作用型なので副作用は軽減されているが,昼夜薬効が続く。オキシブチニン®やイミダフェナシン®は短時間作用型なので,夜間のみ効果を期待する症例にはよいように思われるが,オキシブチニン®は中枢への移行が報告されているので,薬物の選択にも注意する必要がある。
参考文献
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