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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション 3.前立腺肥大症 【前立腺肥大症】

49.α1ブロッカーを内服している前立腺肥大症の患者が頻尿を訴えています。残尿はほとんどありません。対処と処方について教えてください。

著者: 嘉村康邦1

所属機関: 1四谷メディカルキューブ泌尿器科

ページ範囲:P.168 - P.170

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1 診療の概要

 一般に60歳以上の男性の下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)の原因としては,前立腺肥大症(BPH)が最もポピュラーで,かつ,このBPHには排尿筋過活動を伴うことが多いのはよく知られている1)。また,長期の下部尿路閉塞(bladder outlet obstruction:BOO)が,排尿筋過活動を引き起こすこともわかっている。そして,排尿筋過活動は過活動膀胱(over active bladder:OAB)症状を呈する(図1)。ところが,理解を複雑にしているのは,BOOのあるBPH患者の50~75%がOAB症状を呈するものの,BOOがなくてもOAB症状を有する患者がいること,またOAB症状があっても排尿筋過活動のない患者がいるという事実である。BPHがあってBOOを伴い,これにより排尿筋過活動を生じ,頻尿などのOAB症状を起こしている典型例は病態が考えやすいが,そのほかにも,さまざまな原因からOAB症状をきたしているBPH患者がいるわけである。この原因としては,尿路感染症,脳血管障害による神経因性膀胱,多尿,服用薬の副作用などが挙げられる。したがって,BPHにOAB症状を伴う場合は,その原因を評価し適切な診断・治療を行うことが必要である。ここでは,前立腺肥大症と診断して,BPH治療の第一選択薬であり,OAB症状をも改善するとされるα1ブロッカーを投与したが,頻尿の改善が得られないケースの対処法について,薬物療法を主体として解説する。

参考文献

1)日本排尿機能学会 過活動膀胱ガイドライン作成委員会:過活動膀胱診療ガイドライン.ブラックウェルパブリッシング,東京,2005
2)Lee JY, Kim HW, Lee SJ, et al:Comparison of doxazosin with or without tolterodine in men with symptomatic bladder outlet obstruction and an overactive bladder. BJU Int 94:817-820, 2004
3)Kaplan SA, Roehrborn CG, Rovner ES, et al:Tolterodine and tamsulosin for treatment of men with lower urinary tract symptoms and overactive bladder:a randomized controlled trial. JAMA 296:2319-2328, 2006
4)Abrams P, Kaplan S, De Koning Gans HJ, et al:Safety and tolerability of tolterodine for the treatment of overactive bladder in men with bladder outlet obstruction. J Urol 175:999-1004, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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