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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション 4.尿路結石 【腎臓(腎)結石】

51.X線透過性の腎結石患者です。アロプリノールとアルカリ化療法剤を投与していますが,尿のpHは6で,結石は溶解しません。対処について教えてください。

著者: 飯田如1 宮澤克人2 森山学2 鈴木孝治2

所属機関: 1飯田泌尿器科医院 2金沢医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.176 - P.178

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1 診療の概要

 X線透過性腎結石の代表となるものは,尿酸結石とキサンチン結石,2,8-ジヒドロアデニン結石(DHA)である。尿酸時結石は,痛風に代表される高尿酸血症などによる高尿酸尿症と,それに伴う持続的な酸性尿が主たる原因と考えられる。尿酸塩の溶解度は尿pHに依存しており1),尿のアルカリ化によってその溶解度を増加させることにより,再発を予防し得るのみならず,結石の溶解も可能である。一般には食事療法として,尿酸塩の前駆物質であるプリン体を多く含む食事(肉,魚類,アルコールなど)の摂取を制限し,薬物療法として尿アルカリ化剤(重曹,クエン酸製剤)や尿酸生成抑制剤(アロプリノール)の投与を行う。尿のアルカリ化に関しては,pH6.5~7.0になるよう調節する。ただし,尿pHが7.0を超えるような過度のアルカリ化は,リン酸カルシウム結石の誘発につながるため注意が必要である。

 キサンチン結石,2,8-ジヒドロアデニン結石の発生頻度は低く,遺伝性疾患である。

参考文献

1)Coe FL:Uric acid and calcium oxalate nephrolithiasis. Kidney Int 24:392-403, 1983
2)Cameron JS, Moro F and Simmonds HA:Gout, uric acid and purine metabolism in paediatric nephropathy. Pediatr Nephrol 7:105-118, 1993
3)Pietrow PK and Preminger GM:Evaluation and medical management of urinary lithiasis. In:Campbell-Walsh Urology. 9th ed. edited by Wein AJ, Kavoussi LR, Novick AC, et al. Saunders, Philadelphia, pp1406, 2007
4)Chung TG, Kanazawa I and Saito A:Determination of 2,8-dihidroxyadenine in urine by high-performance anion-exchange liquid chromatography. J Chromatogr 277;300-304, 1983
5)日本痛風・核酸代謝委員会(編):高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.第1版.治療ガイドライン作成委員会,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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