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4.尿路結石 【尿管結石】
53.妊娠中,疼痛発作を起こした尿管結石患者です。対処と処方について教えてください。
著者: 加藤良成1 奥田康登1 森康範1 井口正典1
所属機関: 1市立貝塚病院泌尿器科
ページ範囲:P.182 - P.184
文献概要
尿管結石を疑う妊婦の診察を行う場合,産婦人科から水腎症の精査依頼で紹介されることが多い。その際に,水腎症が通常の妊娠経過でみられる生理的な水腎症なのか,尿管結石などの病的な原因によるものかを診断しなければいけないが,X線検査等の制約があるため確定診断は意外と難しい。正常妊娠経過中において,約70%に生理的な水腎症が発現するが1),妊娠子宮による尿管の機械的圧迫やプロゲステロンの作用による尿路系平滑筋弛緩作用が成因といわれている2)。水腎症の頻度は妊娠月数とともに増加し,妊娠30か月頃まで増大する。発生は右側に多く,これは増大子宮の生理的な右捻転やS状結腸による左尿管の圧迫保護によるものと考えられている3)。
診断は,被曝を避けるため超音波が主体となる。上部尿管や尿管膀胱移行部では結石の描出も容易であるが,中部尿管以下では難しい。妊娠水腎症では血管交差部まで水尿管であるが,交差部以下の尿管は描出されない。したがって,交差部の尿管結石との鑑別が必要となる。
参考文献
掲載誌情報