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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション 4.尿路結石 【膀胱結石】

54.軽度の下部尿路閉塞がみられる膀胱結石摘出後の患者です。対処と処方について教えてください。

著者: 辻畑正雄1 奥山明彦1

所属機関: 1大阪大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.185 - P.187

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1 診療の概要

 下部尿路とは,解剖学的には膀胱から外尿道口までのことである。下部尿路機能は尿をためる蓄尿機能と尿を出す排尿機能に分けられ,よって下部尿路機能障害は蓄尿機能障害と排尿機能障害に分けられる。今回の症例は,下部尿路閉塞があり膀胱結石摘出後ということで,下部尿路機能障害の排尿機能障害に当てはまる。

 下部尿路閉塞を起こす疾患としては,男性の場合前立腺肥大症が代表的であり,他に尿道狭窄,膀胱頸部硬化症,慢性前立腺炎などがある。前立腺肥大症は,下部尿路症状(LUTS:lower urinary symptom),良性前立腺肥大(BPE:benign prostatic enlargement),膀胱排出路閉塞(BOO:bladder outlet obstruction)の3つの要因が互いに関連している。前立腺が大きく肥大していても自覚症状に乏しく排尿状態がよい人がいる一方,前立腺肥大が軽度でも自覚症状が強く排尿状態が悪い人がいるのは,これら3つの要因によるものである。また,前立腺肥大症の症状を増悪させる因子として,下部尿路閉塞に加えて,無抑制収縮と排尿筋の収縮力低下が挙げられる。今回のように下部尿路閉塞が軽度であっても膀胱結石を合併した症例では,下部尿路閉塞のほかに排尿筋の収縮力低下が関連しているものと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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